(JPN / EM / EM1194LP / 2021 / MEDIA:EX / JACKET:EX)
ルークトゥンとヒップホップを融合させた最新鋭汎アジア音楽!
タイの伝統的な音楽要素とTRAPを媒介とした現代のヒップホップを融合させたユニークなスタイルで、熱烈支持を獲得した2021年作。
フィジカル版のみの特典<ジュウさんの謎の音楽履歴まとめ>図表が封入されています。
「数十年前、新世界のジャンジャン横丁で生きたニワトリを頭に乗せて酒を呑む老婆を目撃した。心の底からヤヴァイと思った。そんなヤヴァイと音楽のヤヴァイは違う。…と言うと思ったかもしれないけど、私はそんなに違わないと考える。JUUの音楽には、謎に満ちた、宇宙人のような、もちろん笑えてしようがないヤヴァイ神秘に溢れている。JUUはニワトリというよりカラスが似合う。『ニュー・ルークトゥン』ではカラスを頭に乗せていたが、『馬鹿世界』では怒りが彼をカラスに変えた。狂った世界の中、シラフでいるためにJUUは今日も明日もキメるのだ。」(安田謙一/ロック漫筆)
—————————————————————–
HIP HOPのグローバルとは?ローカルとは?ハイプまみれの<馬鹿世界>を塗り替えるタイの異能ラッパー、JUU4Eの新作は21世紀の汎アジア・ミュージック希望の灯であり、世界に向けて放たれた黒船だ。いや、白昼堂々出現したのが黒船ならば、本作は夜を縫って海を渡り<新しいヤバいもの>を運んでくる密貿易の小型船だ。
米アトランタ生まれのTRAPビートは世界の共通言語となってレプリカを生み続け、アジアも例に漏れず多数のアクトが現れては消え、韓国、タイ、インドネシアといった国々のラッパーが注目されて久しい昨今。「YOUTUBE再生○○万回!」「インスタグラムフォロワー○○万人!」そんな惹句が飛び交い、ラッパーはソーシャルメディアを駆使し一発のバズからマネタイズを目論む仁義もへったくれもない中、ひたすら自分のローカルを力強く表明しオリジナルなHIP HOPを作り出し続けているのがJUU4Eだ。
若い才能が次々現れるタイにおいてOGとしてリスペクトを受け、独自の立ち位置を確立しているラッパー、JUU4E。前作『NEW LUK THUNG』(2019)では、STILLICHIMIYA/OMKのYOUNG-Gプロデュースの元、タイの雑食ゲットー歌謡、ルークトゥンをHIP HOPと折衷し最新のHIPHOPであると同時に最新のルークトゥンでもあるという傑作を作り上げた。同作はタイ国内でも権威あるRIN (RAP IS NOW)の年間ベストにノミネートされるなど、内外に衝撃を与えたが、この『NEW LUK THUNG』リリース時、実はすでに本作「馬鹿世界」の制作は始まっていた。
本作は全てJUU4Eのセルフ・プロデュース。タイ日英語を織り交ぜたリリックと、伸縮自在なフロー、前作より重心が低くダビーに煮詰められたトラックは、HIP HOP/TRAPを咀嚼し、完全に自分のものとした前作同様だが、特筆すべきは強く<アジア>をレペゼンしている意思が感じられる点だ。マレーシア音楽の影響を受けたタイ南部の舞踊芸能ロン・ゲン、日本民謡、そしてJUU4Eが幼い頃から慣れ親しんできたテレサ・テンの曲を引用しているが、JUU4Eの内部に取り込まれ出てきたそれらは、かつてワールドミュージックが持っていた見せかけのグローバルやエキゾチシズム、また現在のアジアのHIP HOPに悪気なく横行するセルフ・オリエンタリズムを軽々と一刀両断している。
もしあなたがアジアのHIP HOP熱いよね~とネットに氾濫する情報をかじって本作に触れたならば幸運。「馬鹿な世界」に真っ向から挑むリリックと、圧倒的な自由さでぶちかまされるサウンドに叩きのめされて是非とも馬鹿になって欲しい。
TRACKLIST
A1 どこかへ行きたい (U WANNA GO SOMEWHERE?) (SKIT) 1:39
A2 おはようござい麻す อรุณสWEED (DAWN WEED) 3:35
A3 ネチズン星 ชาวเน็ต (NETIZENS) 3:44
A4 保存と開発 อนุรักษ์และพัฒนา (PRESERVATION AND DEVELOPMENT) 2:57
A5 酔ってるのは誰? สรุปใครเมา? (WHO IS DRUNK?) 3:04
A6 チャス! (はっきり言うぜ) IEYO CHAS! (CHASSSS! (SAY IT CLEARLY!)) 2:07
A7 あなたの心へのメッセージ หนุ่มสาว (MESSAGE FOR YOUR MIND) 2:42
A8 ホメオパシー ธรรมชาติบำบัด (HOMEOPATHY) (SKIT) 1:37
B1 膝の傷跡 รอยที่เข่า (KNEE SCARS) 3:24
B2 心の宇宙 จักรวาลภายใน (THE UNIVERSE INSIDE) 3:42
B3 緑色植物の論理 ทฤษฎีความรักสีเขียว (GREEN LOVE THEORY) 2:56
B4 山小屋のリズム เถียง RHYTHM (RHYTHM FROM DA HUT) 2:20
B5 一服しにお入り下さい เข้ามา SMOKE (COME IN AND SMOKE) 2:08
B6 トンブリー丼 (THONBURI DONBURI) 2:42
B7 天使よ、どうかお慈悲を เทวดาเมตตา ? (ANGEL, HAVE MERCY) 3:29
B8 良い旅を BON VOYAGE (SKIT) 1:13
COPYRIGHT © – EM RECORDS
PHONOGRAPHIC COPYRIGHT ℗ – EM RECORDS
MIXED AT – GROUND重起STUDIO
LACQUER CUT AT – DUBPLATES & MASTERING
ARTWORK [COVER ART BY] – SHINSUKE TAKAGI, SOI48
LINER NOTES – 俚謡山脈, 佐藤雄彦
LINER NOTES [ジュウさんの謎の音楽遍歴まとめ] – 江村幸紀
MASTERED BY – TAKUTO KURATANI
MIXED BY – YOUNG-G
PRODUCER, PERFORMER, ARRANGED BY, WORDS BY, MUSIC BY – JUU4E
TRANSLATED BY [ENGLISH TRANSLATION] – MATTHEW LANE